2011年4月8日22時5分
7日深夜に起きた大きな余震で、東北電力管内では全体の7割にあたる約400万戸が停電した。東日本大震災の発生時とほぼ同じ規模だ。大震災で被害を受けた設備は復旧の途上にあり、東北電の大停電リスクは依然として高い。
電気には、発電した分を同時に使わないと送れない性質がある。今の東北電の供給力は正常の半分の1100万キロワットほど。わずかな供給力の喪失で需給のバランスが崩れ、大停電が起きやすい状況にある。
東北電によると、8日午前3時には青森、岩手、秋田3県の全域、宮城県の7割、山形県の8割、福島県の一部で停電した。大震災ではピーク時に440万戸が停電したが、残り16万戸まで復旧したところで大停電がまた起きた。
今回の大停電の直接の原因は、地震で送電線が跳ねるように揺れ、電線同士や地面と触れてショートしたためと東北電はみている。それが宮城変電所(宮城県加美町)など主要な変電設備への負荷を高め、機器が損傷。電気を届ける先を失った八戸、能代、秋田の各火力発電所が次々に停止して、停電が大規模化したという見立てだ。
つまり、火力発電所は地震そのものより、地震後の送電の乱れで止まった。機器類はほぼ問題なく、順次立ち上がった。まだ応急処置のものも多いが、送電網も点検で問題がなければ停電は早く解消できそうだ。
ただ、供給力の土台となる東通、女川の各原子力発電所は、東京電力福島第一原発の事故もあり、再稼働は容易ではない。宮城、福島両県にある太平洋岸の大規模火力発電所も、津波による損壊が激しく、少なくとも今夏には間に合わない。
他社の応援も、北海道電力と電気を融通できる海底ケーブル設備が今回の余震で停止。東電も電力不足で余裕がない。震災前の発電、送電態勢に戻すという本当の意味での復旧はまだ遠い。(中野和郎)