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地デジ移行、被災3県延期へ 半年〜1年程度

2011年4月8日3時2分

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 総務省は7日、東日本大震災の被害が大きかった岩手、宮城、福島の3県に限って、7月24日に予定していた地上デジタル放送(地デジ)への完全移行を当面延期する方針を固めた。被災地から「地デジの準備に手が回らず、生活再建を優先したい」との声が上がっているためだ。

 この3県では、7月24日以降もデジタル放送と従来のアナログ放送の両方を見ることができる。これには電波法の改正が必要で、いまの国会に提出している同法改正案に追加する。延期幅については、半年〜1年程度を軸に自治体や放送局と調整に入るが、復旧・復興の状況次第ではさらに延びる可能性もある。

 総務省は全国一律の移行をめざしていたが、震災や津波により、電波の届きにくい集落向けの共同アンテナの流失や損壊が続出。高齢者などにきめ細かい周知活動をしようにも、復旧作業などに追われる地元自治体の協力を得るのが難しい状況だ。

 例えば、宮城県で最多の2万人近くが避難している石巻市。もともと地デジの電波が届かず、特別な対策が必要な地区が多い。市の担当者は「地震後、地デジの取り組みはすべて止まっている。7月にアナログ放送が停止すれば、テレビを視聴できない世帯が多数出る」と話す。

 岩手県でも、山がちな地形から、共同アンテナ設置に向けて住民が組合を作っていたが、加入者らが被災し、話し合いは進んでいないという。

 地デジ対策が間に合わなくても、衛星放送経由で地デジを見る方法はある。だが、こうした方法で受信できるのは東京向けのNHKと民放キー局の番組で、地元放送局の番組や地元自治体が流すデータ放送は見られない。「被災者から情報を伝える手段を一つでも奪うことはできない」(総務省幹部)として、被災地に限って、移行を延期することになった。

 ただ、放送局にとってはアナログ機材の補修など多額の費用がかかり、経営に与える影響は大きい。このため、総務省は、国が財政支援することも含めて検討し、理解を求めていく。(岡林佐和、高橋昌宏)

     ◇

 〈地デジ完全移行〉 現在は従来のアナログ放送と地上デジタル放送が同時に放送されている。7月24日でアナログ放送用の電波が使えなくなり、完全にデジタル化する計画だった。地デジを見るには対応テレビやチューナーなどの受信機がいる。山間部やビル陰などの電波の届きにくい場所では、共同アンテナの設置やケーブルテレビへの加入が必要。昨年末時点の世帯普及率は94.9%(総務省調べ)。

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