2011年4月7日16時40分
福島第一原発の事故が台湾での魚介類の売れ行きに影響を与えている。今のところ放射性物質は検出されていないが、当局は懸命に「安心」を強調している。
台湾で日本に最も近い北端に位置する基隆市の碧砂漁港に一般客向けの魚市場がある。近海でとれたアジ、サバなどが並んでいるが、ここ2週間は客が3割減った。特に大ぶりな魚は日本寄りの遠洋産と疑われ、全く売れない。
「怖がっているよりも新鮮な魚を食べる方が体にいいのに」。市場で店を構えて20年になる洪阿珠さん(59)が笑った。「何か問題が見つかったわけじゃない。落ち着くべきだ」
市場では数日おきに600グラム分の魚を抜き取り、検査に送っている。「他国で起きたことが波及するのは仕方がない。いずれ解決すると信じたい」と市場の劉文河主任は話した。
行政院農業委員会の漁業署は「震災前後で価格や取引量に大きな変化はない」と言うが、台湾メディアは、各地で魚の販売が落ち込んだと伝えている。行政院農業委員会の陳武雄主任委員は6日の記者会見で「黒潮が南から北へ流れるため日本の影響は受けない。台湾の水産物は絶対安全」と強調した。
台湾の漁船は6月からのサンマ漁で福島から720キロ沖以東の太平洋に出るため、漁業署は5月中に漁場を調査して安全確認をすることにしている。(台北=村上太輝夫)