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枝野官房長官の会見全文〈6日午前〉

2011年4月6日13時29分

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 枝野幸男官房長官の6日午前の記者会見は次の通り。

 【冒頭】

 「水の放出の件については水産関係者のみなさん、それから近隣をはじめとする周辺諸国のみなさんに大変心配をかけている。十分な報告説明がなされなかったのではないか、との指摘が農水大臣あるいは周辺諸国からも指摘されている。今回の放出は、タービン建屋2号機のたまり水に代表されるような水が、この間海に流れて出ていた。こうした状況を食い止めるとともに、たまっている水を海に出さないということに向けたやむを得ない措置であって、従来タービン建屋などの高濃度の水が流れ出ていたと思われる状況に比べると、20万分の1ぐらいの低い、相対的には低い濃度のものであって、海洋汚染をより小さくするための措置だが、こうしたことを含めて関係省庁、あるいは周辺諸国にあらかじめより詳細な丁寧な説明が必要ではなかったか、との指摘はしっかりと真摯(しんし)に受け止めていかねばならない。特に、近隣諸国に対する連絡、伝達についてはより丁寧に行っていくべく、経済産業省あるいは外務省に対してしっかりとした連携を進めてもらうべく、調整を、さらなる調整をしているところだ」

 【汚染水の放出その1】

 ――東京電力によると、漏れていた汚染水が止まったという。官邸で把握している事実関係と受け止めは。

 「今朝5時38分ごろ、従来から問題になっている2号機の取水口付近、電源ケーブル基地と下の水漏れについては止まったという報告はきている。ただ、完全に止まっているのかどうか、あるいはここが止まっているからといって他のところがどうなのかについては、しっかりと調査点検をしているところだと報告を受けている。今の段階で止まったと安心している状況ではない」

 ――汚染水の放出で、全漁連が抗議声明を出している。「放水は暴挙」と位置づけている。直接、間接を問わず被害はすべて国と東京電力の責任において実施することを明らかにして欲しいと訴えている。受け止めと今後の放出の可能性は。

 「今も言った通り、タービン建屋などにたまっている大変高い濃度の水、あるいはそれと同種の水がこの間海に流れ出ていた。そうした状況を食い止めるには、そうした水を海水に出ないようにためておく場所を確保しないとならない。そのための措置なので、従来、この放水によって出る水に比べて、20万倍以上の高濃度の水が出ないようにするための措置だ。ただ、こうした事情、状況により海水汚染を防ぐための措置であるのだということについて、関係者にはより丁寧な説明があらかじめ必要ではなかったかと思う。そうだとしても、漁業関係者にとってなかなか納得できるものではないというのは、私は当然のことだと思っている。さらに丁寧な説明を申し上げるとともに、これで出ている水産業の影響、被害については当然今後、補償の対象として含めていくのは当然だと思う。また、最終的な補償に先立って、当面の仮払い的なことも含めて農作物と同様に対象に含めていくのは当然だ」

 【魚介類の暫定基準値】

 ――魚の暫定規制値について。野菜にしても「暫定」規制値になっている。野菜からそのまま転用しているが、暫定規制値の数値が厳しすぎるとの声もあるが、これを見直す考えはあるか。

 「野菜については、食品安全委員会を含めて改めて検討を頂き、この規制値でよろしいと、適切であるとの認識を示してもらった。魚介類についても同様に、食品安全委員会などにもはかる必要があると思っている」

 【汚染水の放出その2】

 ――水産関係者や周辺諸国に十分な報告、説明ができなかった理由は。

 「この点は、より詳細な、なぜ放出が必要なのか、そのことがどういう意味で、より大きな海洋汚染を防ぐための措置であるなどについての事項をしっかりと伝達できてなかった側面はあったと思う。どうしてこれが必要なのか、どうしてこれが相対的にやむを得ない措置なのか、といった具体的なことも含めて、しっかりとお伝えをしないといけない。伝えるためには一定の時間が必要になる。そのための準備が十分でなかった」

 【補正予算】

 ――1次補正が3兆円を超える規模で、追加の国債発行をしないとの一部報道があるが。

 「1次補正で必要な歳出項目は、大震災に直面して必要なものを支出している。これから必要なこともはっきりしているので、一種の積み重ねの中である程度の見通しができている。財源は今の段階で決まったものはない」

 ――規模は3兆円か。

 「いま積み重ねをしている状況で、最終的な足し算の結果がどれぐらいになるかは、ぎりぎりの段階まで、1次補正に含められる可能なものは含めるべきだと思っているので、現段階で確定していない。財源については今の段階で何も確定しているものはない」

 【計画停電】

 ――計画停電は明日も実施しないということで、10日連続となる。4月中に計画停電を廃止するとの報道もあるが、今後の見通しは。

 「計画停電は、震災で生じた需給ギャップに対しての緊急措置として採用した。節電などの協力、あるいは供給量、火力発電所の再開で増やす、などによって計画停電が行われないようにすることは、できるだけ早く行わなければならないし、夏の需要が伸びていく時期に向けて、対応の準備も進めている。ただ、その上で今の状況のように、執行はされないけど、万が一の状況に備えてのセーフティーネットとして、計画停電という仕組み自体をどうするかは、慎重な検討を進めている。節電の見通しの中で、万が一にも不測の大規模停電が起きないという状況なら、計画自体今日はなし、あるいは一定期間なしはあり得るが、万が一にもその見通しが違い、不測の大規模停電を生じさせてはいけないことも重要だ。慎重に検討している」

 【保安院の分離】

 ――原子力安全・保安院の(経済産業省からの)切り離しを検討しているのか。

 「政府の正式な検討は始めていない。現時点では今の仕組みの中で最大限の力を発揮してもらい、今の事態を収束させることに全力を挙げるしかない状況なので、組織をどうするかという検討や実施を行えば当然そのことに相当なエネルギーをとられるので、原発を収束させるという現時点での最大の目標に向けて、関係機関全力を挙げている状況だ。一定の収束をみた段階で初めて検討するもので、政府として正式な検討は全くしていない」

 【農産物の出荷停止】

 ――農産物の出荷停止で、自主検査で規制値を超えて指定を受けた自治体と近隣で検査をせず指定を受けていない自治体がある。指定を受けていない農作物が安全であると言った根拠はなにか。

 「今、それぞれの検査がどういったところでどういった農作物をやっているかということを踏まえて、なおかつこれはある意味で大気中に拡散した農産物に由来するものであるので、ある程度、地域的広がりの状況、分布の状況を見て、そうしたことの中で判断していることになる。従ってたまたま、当該地域、市町村が検査の検体がないにしても全体としてのそれぞれのモニタリングの数値に基づいて、ここまでは出荷規制が必要である、ここから先は必要でないという判断をしている。従って、できるだけ検査をたくさんやったほうが、当該地域が規制にかからないという可能性は高くなる。当然のことながら保守的な判断になる」

 ――自主検査した自治体からは不公平という声が出ている。

 「むしろ逆だ。検査などの通知がないところは、周辺から推測するしかない。周辺から推測するにあたっては当然ながら安全性を重視した形で推測するということになる」

 【年間被曝(ひばく)限度量】

 ――原子力安全委が避難の長期化を見据えて年間被曝限度量の引き上げを検討しているが、政府の指示か。

 「報道を拝見したが、この間、原子力安全委員会含めて関係の専門家とは何度か話しているが、現在の基準値が、短期間で大量の放射線を受けるという場合の安全規制値が出ているのであって、現状ではもちろん原子力発電の状況は予断を許さないが、今のこの1週間、2週間の状況はむしろ長期的に、必ずしも一瞬に大きな、ということに比べれば、相対的には低いけれども放射性物質を長期間受けるということの影響、リスクをしっかり管理して安全性を確保しなければならないという状況で、別の次元の安全性を確保する上で、どれぐらいが、たとえば退避をお願いする場合の基準になるのかということを検討しているという状況だ」

 【SPEEDI】

 ――文科省の「SPEEDI」(緊急時迅速放射能影響予測)は一度しか公表されていないが、今後公表の考えはあるか。

 「基本的にはさまざまな情報データは公表すべきであるという原則であらゆる問題についてしてきたい。ただ、SPEEDIについては結局出ている放射線物質の量を入れて、それに基づいて、どういったところがどういった放射線量になるかなどの影響を分析予測するシステムと承知している。出た、出ている放射性物質について推測するための材料について、新たな変化がないという報告は受けている。そこのデータが変わらなければ出てくるものは基本的には変わらない。大きく風向きが変わるなどがなければ、という状況だと聞いている」

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