2011年4月6日11時49分
自粛は無用。東北の地酒を飲んで、被災地に元気を――。岩手県二戸市の酒造会社「南部美人」など3社が、動画投稿サイト「ユーチューブ」を使って東北の地酒をPRしている。
「被災地岩手から『お花見』のお願い」と題し、ユーチューブに投稿したのは同社専務で5代目蔵元の久慈浩介さん(38)。東日本大震災で工場の煙突が壊れたり、蔵の壁が崩れたりする被害が出たが、製造ラインは無事で、一日も休まず酒造りを続けている。
例年なら歓送迎会や花見のため出荷量が増える時期だが、震災の影響で3月の出荷量は4割減った。岩手県酒造協同組合によると、県内の23カ所の酒蔵のうち沿岸部の3カ所は全壊。ほかにも停電の影響などで現在も生産ラインが止まっているところがあり、南部杜氏(とうじ)で知られる地元の酒造業界の被害は深刻だ。
南部美人は出荷先の半分を県外が占める。「被災地を気遣っての自粛の気持ちはありがたいが、このままでは経済的な二次被害を受けてしまう。被災地以外の方は普通に生活し、経済活動をすることが中長期的に被災地の支援につながる」と久慈さん。
2日の投稿以来、ユーチューブでの再生回数は26万回を超えた。久慈さんは「東北の酒はどれも高い技術で造られ、おいしい。日本酒には人を元気にする力がある。東北の地酒を飲んで、みなぎった活力を被災地に送って欲しい」と話している。(京谷奈帆子)