2011年4月4日12時56分
福島第一原子力発電所2号機の取水口付近にある作業用の穴(ピット)の亀裂から放射能汚染水が海に流出している問題で、東京電力などは、汚染水の拡散を防ぐフェンス設置の検討を始めた。東電は水を吸って膨張する吸水性ポリマー(樹脂)を3日に投入して止水を試みたが、4日午前の段階で流出は止まっていない。目印となる乳白色の入浴剤を上流から流し、流出経路を探っている。
ピットからの汚染水流出は2日に発覚した。東電はまず、コンクリートを流し込んでピットを埋めようとしたもののうまくいかなかった。
そこで、紙おむつなどに使われる吸水性ポリマーの粉末や新聞紙、おがくずを20メートルほど上流から投入。ポリマーが膨らんでこれらとともに固まることで、ピットへ通じる管が詰まると期待していた。
ピットからの流出状況は亀裂付近に取り付けたカメラで監視しているが、4日も汚染水の流出は止まらず、流量も変わっていないように見えるという。おがくずなどがピット側に出てきている様子も見えず、途中で滞留している可能性もある。
拡散を防ぐため設置を検討しているのは「シルトフェンス」。土木工事で泥水などの拡散を防ぐのに使われる。浮き(フロート)でつり下げて海面から海底までの間をカーテンのように仕切り、海水の移動を抑える。付近の水深は5〜6メートル。汚染水が流れ込んでいる取水口付近や、周囲を囲む堤防付近への設置を検討している。
流出が止まらないため東電は、水に色をつけて詳しい流速や流量を探ることにした。4日午前7時すぎ、以前から放射能汚染水がたまっていることが判明していたたて坑から、乳白色の入浴剤粉末13キロを投入。下流側の水の色の変化をみることで、水がいつごろ到達するかや、ほかに流出経路がないかなどを調べる。
管路以外のルートで流れ出ているおそれもあるため、周辺の地中に速乾性セメントや薬剤などを注入し、地盤ごと固めることも検討している。管路の下には砕石が敷かれており、ここが水の通り道になっている可能性があるという。
タービン建屋地下にたまっている水を回収するための作業も続いている。タンクの水を次々に別のタンクへ移し、回収のための空き容量を確保する「玉突き」方式で進められている。最終的には、タービン建屋内にある復水器という装置に地下の汚染水を入れるのが目標だ。
1号機は、3月24日から復水器へ移す作業をしていたものの、満水に近いことが分かり一時停止。まず、この水を移す復水貯蔵タンクの水を、さらに別のタンクに移す作業が2日まで進められた。3日からは復水器の水を復水貯蔵タンクに移す作業が進められている。
2号機でも、復水器の水を復水貯蔵タンクへ移す作業が2日から始まっている。3号機でも同様の作業を準備中。