2011年4月2日22時9分
「着の身着のまま逃げてきた」「携帯電話の料金も払えない」――。被災者の声からは、今後の暮らしへの経済的な不安も浮かび上がる。収入がない中で、支払期限が迫っているお金も多いだろう。今回の震災では、民間の企業も特別な措置をしている。
経済ジャーナリストの荻原博子さんは「ヤミ金で借りて無理に返済したり、連絡せずに延滞したりするのはよくない。まずは関係先に相談して」と勧める。
NTT東日本は、災害救助法の適用地域で請求書払いをしていた人に対して、2月と3月分の利用料の支払期限を延長している。auは1カ月、ソフトバンクは3カ月延長する。
NTTドコモは、3月分は5月2日、4月分は同月31日まで延長する。口座振替は予定通りだが、引き落としができない場合に限り、同様に延長する。
ただし、各社ともクレジットカード払いは対象外。引き落とせなければ「延滞」になり、信用情報に影響する可能性もある。カードでの買い物代金がある場合も、要注意だ。
日本クレジット協会は「延滞になるかどうかは、個人の事情や会社によって違う。まずは、利用している会社に相談してほしい」という。同協会の加盟社は、支払い条件の変更や限度額の引き上げなどにも応じている。カードを紛失した場合は、簡単な本人確認で再発行してもらえる。
一方、住宅や車のローンなどの借り入れがある人は、家や車がなくなっても債務は残ってしまう。
住宅金融支援機構は、被災の割合によって、金利の引き下げなどをしている。他の金融機関でも、支払いを据え置いたり、毎月の返済額や返済期間を見直したりできる。消費者金融各社も、返済条件の変更などに応じる方針だ。
生命保険や損害保険の支払いはどうか。保険料の払い込みがない場合、通常でも3カ月は失効しない。今回はさらに、災害救助法の適用地域の人については、6カ月まで支払いが猶予される。ただ、延長してもらうには各社への連絡が必要だ。かんぽの場合、遠方に避難している人も、最寄りの郵便局で手続きできる。
保険証券がない場合も、本人確認ができれば大丈夫。亡くなった人が契約していた保険会社が不明の場合は、生命保険協会や損害保険協会で調べることができる。すぐに手続きできないという人は、3年以内に請求すればいい。
生保の契約は続けたいが現金が欲しいときは、積立金の一定割合を限度に低利で借りられる「契約者貸付」という制度もある。
株券や投資信託、個人向け国債などは電子管理されている。これも、本人確認ができれば換金もできるし、売ることもできる。