2011年4月2日19時8分
人気アイドルグループ「AKB48」の20歳以上のメンバー13人を起用した、東京都選挙管理員会の知事選(4月10日投開票)のPRが思うようにできていない。若者の投票率向上を狙ったが、原発事故で節電を余儀なくされているためだ。都選管は「投票率を伸ばしたいが、啓発が足りない」と危機感を募らせる。
都選管によると、2007年の都知事選の投票率は54.35%だったが、20代に限れば33.45%にとどまった。過去のイメージキャラクターにはタレントの劇団ひとりさん(09年都議選)や、タレントの伊集院光さんと俳優の香椎由宇さん(07年都知事選)らを起用したが、今回は特に若者に人気のAKBに依頼した。
AKBが「投票for東京」と訴える3種類の動画や、ポスターを約1700万円で制作。動画の放映は、若者にアピール効果が高いとされる繁華街の街頭ビジョンを中心に計画した。09年都議選の2倍の38カ所を予定。電車内のモニターや駅に設置されたデジタルポスターも使う計画だった。
しかし、大震災後の節電で、街頭や電車内の放映は一部を除いて3月中は中止に。4月4日から電車内の放映はできる予定だが、駅のデジタルポスターは取りやめた。コンビニエンスストアのレジの宣伝画面を使ったPRも約2100台を約1300台に。街頭ビジョンも4日から放映を始めるが、半分程度の箇所になる見込みだ。
■特設サイトは「驚異的な数字」
一方、AKBのメッセージ動画が見られる都選管の特設サイトは好調だ。3月24日の告示直前から閲覧が急増し、13〜29日のアクセス件数は携帯電話も含めて約20万3千件。昨夏の参院選はイメージキャラクターがいなかったが、公示前後の同期間のアクセスは304件だっただけに、今回は「驚異的な数字」(都選管)という。
担当者は「今後4年間を任せる知事を選ぶ大切な選挙なので、啓発活動はできる限り広げたい。大震災は大変な災害だが、都の将来を考えて投票してほしい」と話す。(渡辺志帆)