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〈生きていくあなたへ〉「活気」伝染させよう 詩人・城戸朱理さん

2011年4月2日11時10分

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写真:城戸朱理(きど・しゅり)さん(51)拡大城戸朱理(きど・しゅり)さん(51)

 盛岡市で生まれ育った私だが、テレビに映る岩手の風景は見知らぬ異国の被災地にみえる。福島県双葉町の伯母一家は町ごと埼玉に集団疎開した。もう我々は「3・11」以前の日常に戻れない。

 でも人からすべてを奪うことはできない。津波は海岸の街並みを壊したが、岩手県宮古市の浄土ケ浜に家族で出かけた海水浴の記憶は消せない。海から上がった兄の足にタコがからみついていた。母が作ったおにぎり。巨岩の向こうに広がった青い海。無力感にさいなまれながらも人は何かに思いをはせることができる。大切な人を心の中に呼び起こすこともできる。

 いま日本中を重たい空気が覆っているが、被災地の感情に勝手に同調すべきでない。明治・昭和の地震を乗り越えた東北の人には強さがある。明日は見えなくても10年後の未来を想像する力。それを支える方法を考えたい。節電に配慮しつつも経済活動に励み、国全体を活気づける。暗い気分も明るい気分も伝染するのだから。

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