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漁港の水産物6万トン腐敗 宮城県、海への投棄認める

2011年4月2日9時33分

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写真:地震で壊滅的な被害を受けた気仙沼漁協の超低温冷蔵庫。冷凍保存していたカツオが散乱していた=3月29日午後1時8分、上田潤撮影拡大地震で壊滅的な被害を受けた気仙沼漁協の超低温冷蔵庫。冷凍保存していたカツオが散乱していた=3月29日午後1時8分、上田潤撮影

 国内有数の水揚げを誇る宮城県の漁港で、冷蔵や冷凍保管していた水産物の腐敗が深刻になっている。総量は約6万トンにのぼる。倉庫の損壊や停電が続いており、衛生上の問題が起きかねないとして、県は1日、異例の海洋投棄を認めた。

 気仙沼市にある気仙沼漁協の超低温冷蔵庫。入り口の扉はひしゃげ、がれきが塞いでいる。壁に穴があき、本来なら零下50度以下の倉庫内は常温。腐り始めた魚の強烈な臭いが、鼻を突く。

 「温度が5度上がっただけで品質が保てない。もう全滅だ」。漁協の村田次男・代表理事専務は嘆いた。

 県によると、津波の被害が大きかった気仙沼市、石巻市、女川町には約170の冷凍・冷蔵工場がある。3月31日現在、保管されている水産物は6万トン以上。すでに腐敗臭が漂う地域もあり、「疫病が広がりかねない」(県気仙沼地方振興事務所)との声があがる。

 通常は、腐った魚や加工品は産業廃棄物として所有者が自己負担で処理する必要がある。だが、6万トンは県の年間水揚げの2割近く。焼却処理に限界があり、一時保管場所もないため、県は環境省と調整。海洋投棄はロンドン条約の議定書で禁じられているが、海洋汚染防止法の特例で「緊急的な投入」を認めることにした。

 計画では、土砂の運搬船に水産物を積み、沖合で捨てる。村井嘉浩知事は「この状況を放置すると衛生上、大きな問題になることから早急な対応をとった」と話す。(後藤泰良、高橋昌宏)

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