2011年3月31日11時23分
震災で被災した子どもたちにランドセルを贈る運動を、ランドセルメーカーの協和(東京都千代田区)が呼びかけ、全国から約1万個が届いた。寄贈の申し出を含めると2万個に上る。協和は30日、福島県や千葉県に避難している子どもたちへの発送を始めた。
千葉県野田市の協和の工場では、従業員が届いたランドセルを修理し、汚れを落として除菌。新しいマットや時間割り表を入れて化粧箱に詰めた。従業員約130人のうち約10人で修理や発送を担当。本社の約40人が殺到する電話の対応に追われている。
専務の若松秀夫さん(60)がテレビで「孫に買ったランドセルも流されてしまった」と話すお年寄りを見たのが活動のきっかけ。協和は新品3千個を新1年生に贈ることを決めた。
さらに使い終えたランドセルを修理して2〜6年生の児童たちに贈ろうと18日から寄贈を募ったところ、輪が広がった。被災地を激励する子どもたちの手紙が添えられたものも多い。
まとめて持ち込む学校もある。千葉県柏市の旭東小学校の母親らは30日、59個をワゴン車に積んできた。今春卒業した川田友瑞さんは「6年間大事に使った物だからとっておきたかったけど、役立つのなら」と寄贈を決めたという。
被災地には、津波で家を流された人や、持ち物を自宅に置いたまま戻れず避難生活を送る人も多い。役所自体が被災した自治体も多く、自治体あてに約400通のファクスを送ったが、返事が来たのは数件。どこで何個必要なのかの把握が困難なため、寄贈したい人からの発送を一時待ってもらっている状況という。(黒川和久)