2011年3月30日21時49分
NTTは30日、東日本大震災で被災した携帯電話と固定電話の設備を、4月中に復旧させる目標を明らかにした。NTTドコモ、NTT東日本などからの1万人態勢で、基地局やケーブルの修理を進める。通信各社の復旧作業は、まだ続く。
被災地ではドコモの基地局が津波で流されたり、基地局と交換機をつなぐNTT東の光ファイバーなどが寸断されたりした。まだ通話できない地域もあり、被災者の連絡や、行政とボランティアによる復興作業にも支障が出ている。
震災直後は移動基地局を設けるなどして、細々と通信をつないできたが、本格的な復旧にも乗り出している。
ドコモは設備の損壊や停電で、ピーク時には東北、関東などで約6700基地局が機能しなくなった。30日時点でも約650局が停止中。避難所や人口密集地に近い基地局を中心に作業を急ぎ、このうち多くは4月中に復旧させる計画だ。
光ケーブルが切れた地域では、臨時の光ケーブルを引くなどしている。高台にある基地局では電波を送受信する範囲を通常より広げる設定にして、通話できる範囲を広げる。浸水などでケーブルを引くのが難しい場合、衛星回線も利用する。
東京電力福島第一原発の20〜30キロ圏内にも、機能していない基地局があるとみられ、「早めに点検調査に入りたい」(ドコモの山田隆持社長)という。
NTT東日本は岩手、宮城、福島3県の約150万回線のうち、津波で流された世帯などを含め、約8万回線が通じない。交換機が入ったビルが倒壊した例も多いため、役場が仮移転している場所に通信設備を持ち込むなどしている。交換局と各世帯をつなぐ回線が無事であれば、4月中に固定電話を使えるようにしたいという。
ソフトバンクモバイルも30日現在、356の基地局が停止中だ。岩手、宮城、福島3県の沿岸部などで携帯が使えない状況が続いている。そのため、通常は電波が届きにくい家庭内などで使う小型装置と、衛星アンテナをケーブルでつないだ「簡易基地局」を、各地で設けている。
半径数メートル〜十数メートル程度の範囲で、一度に4〜5人しか利用できないが、すでに94カ所の避難所に置いた。さらに広範囲をカバーできる衛星を使った臨時基地局の設置も検討しており、「福島第一原発の周辺地域などを除き、4月上旬に震災前のエリアをほぼカバーするよう努力する」(広報)という。
KDDI(au)は、震災翌日に最大3680局が停止したが、30日午前中までに264局まで減った。今後は、NTT東や地元の電力系通信会社が引く光ファイバーを借りながら中継網を結び直す。(和気真也、岡林佐和)