2011年3月30日11時32分
東日本大震災で被災した千葉県浦安市が「災害復旧の最中で適正な選挙ができない」と主張して統一地方選の延期を訴え、日程通りの実施を求める千葉県選挙管理委員会と対立。投開票にかかわる事務を止めており、選挙の実施が危ぶまれている。
県議選浦安市選挙区(定数2)の告示を4月1日に控え、県議選や市議選のポスター掲示場は設置されず野積み状態。28日に予定されていた有権者約12万7600人分の投票所入場整理券の発送もされていない。
浦安市では市の4分の3を占める埋め立て地域で液状化が起き、29日現在でも約4千世帯で水道が断水し、約9千世帯で下水道が使えない。地盤が沈下して多くの家屋が傾き、市外に避難した住民もいる。松崎秀樹市長は「安全な投・開票所が確保できず、有権者も冷静な投票行動を取れる状態にない」と主張。統一地方選を延期する臨時特例法の対象とし、最低2カ月は延期するよう総務省や県選管に求めた。しかし県選管は「ライフラインの復旧は進みつつあり、投票所の代替や統合で対応できる」と判断。総務省は、浦安市を延期の対象としなかった。
これに対し市は「市民不在で統一選?」の見出しで広報号外を発行し「市内31カ所の投票所のうち19カ所が使用困難。職員の配置も十分できない」と主張。投票所入場整理券の発送などをしていない。このまま告示した場合、立候補の届け出を県選管が受け付け、候補者が選挙運動をすることは可能だ。しかし市選管が公職選挙法上の受託事務である投票や開票事務をしないと、当選者が決められない。
県選管は、県や無投票の市町村から浦安市に応援の職員を派遣する考えだが「協力はできるが、事務の代行はできない」との立場。「浦安市選管に協力をお願いするしかない」と話している。(小沢香)