2011年3月29日20時59分
気象庁が発表している一般向けの緊急地震速報の精度が、東日本大震災の本震発生以降下がっている問題で、気象庁は29日、発表した45回のうち少なくとも30回は不適切だったと明らかにした。余震の活動が落ち着けば一定の精度に戻るというが、抜本的な改善には数カ月かかるという。
速報は最大震度5弱以上の地震で震度4以上の揺れを予測した地域に出す。11日の本震以降に出た45回(29日午後1時現在)のうち、30回は震度2以下の地域があった。うち11回は全地域で震度2以下だった。
余震など地震が多発していることが精度を下げている原因だ。大きな揺れの前に来る小さな揺れを地震計が捉え、震源や揺れる地域、震度を即時に予測するが、地震計が二つの地震の揺れを同時に感知すると、広い地域で大きな地震が起きると予測してしまう場合がある。このケースが30回のうち21回。残る9回は、本震の影響で回線の不具合や停電が生じ、利用できる地震計が減ったことが原因という。このほか、震度5弱以上なのに見逃して発表できなかったケースも7回あった。
同庁の上垣内修・管理課長は「(今の精度は)低いと思っている。ただ、発表した領域のどこかで地震が起こっていることは確かなので、安全重視で身を守る行動をとって欲しい」と訴えている。(二階堂祐介)