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僕のランドセル届いたよ 仙台の親子へ徳島から贈り物

2011年3月29日9時31分

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写真:ランドセルを受け取って喜ぶ米山兼生君(左)と美枝さん=28日、仙台市宮城野区の市立岡田小学校、渡辺写す拡大ランドセルを受け取って喜ぶ米山兼生君(左)と美枝さん=28日、仙台市宮城野区の市立岡田小学校、渡辺写す

 ランドセルを買うために大切にしまっておいた入学祝いを被災後に盗まれ、困っていた仙台市の親子のもとに28日、ランドセルが届いた。朝日新聞の記事で親子のことを知った徳島県の夫婦からのプレゼントだった。

 「やったーやったー。これで1年生になれる!」。約300人が避難する仙台市宮城野区の市立岡田小学校。新品のランドセルを箱から取り出した幼稚園児の米山兼生(けんせい)君(6)が跳びはねて喜んだ。ランドセルを背負って体育館を走り回る兼生君。「格好いいね」「よかったね」。避難所の人たちが声をかけた。

 兼生君の家は津波で1階が浸水した。地震の2日後、母親の美枝さん(33)が自宅に戻ると2階が物色され、タンスに保管していた封筒の中身が無くなっていた。祖父母がランドセル購入用に贈った入学祝い3万円だった。

 26日、朝日新聞朝刊の「いま伝えたい 被災者の声」でこのことを知った徳島県の夫婦が、避難所に電話をかけてきた。「同じぐらいの孫がいるんです。力になりたい」。遠慮する美枝さんに「今一番つらいだろうけど、これからは良いことだけだから」と言って電話は切れた。

 28日、避難所に届いたのは濃い緑色のランドセル。満開の桜の写真が印刷されたはがきも添えられ、「皆、仲間です」と結ばれていた。美枝さんは「生きるための励みになりました。災害を通じて、兼生も人の心の温かさを学んでくれたはずです」。兼生君は「遠くのおじいちゃんとおばあちゃんにありがとうって電話するんだ」と話した。(渡辺洋介)

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