現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. 特集
  4. 東日本大震災
  5. 記事

「放射能1千万倍」は誤り 東電、違う物質と取り違え

2011年3月28日0時42分

印刷印刷用画面を開く

Check

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

写真:会見で質問を受ける東京電力の武藤栄副社長(中央)=27日午後6時7分、東京都千代田区、伊藤進之介撮影拡大会見で質問を受ける東京電力の武藤栄副社長(中央)=27日午後6時7分、東京都千代田区、伊藤進之介撮影

表:1〜4号機にたまった水から検出したとされる放射性物質拡大1〜4号機にたまった水から検出したとされる放射性物質

 東京電力は27日、福島第一原発2号機のタービン建屋内のたまり水から通常の炉内の1千万倍の放射能を検出したと発表後、夜になり「違う物質と間違えた」と会見、さらにその訂正を28日未明に再訂正した。26日にもタービン建屋で計測した場所や数値を大幅に訂正した。情報を共有できず、高い放射線の場所で関連会社員が被曝(ひばく)する事故も起きた。情報伝達の不備が、混乱に拍車をかけている。

 2号機のたまり水を調べた際、減り方が極めて早いヨウ素134という物質について採取時点の放射能を逆算すると、1ccあたり29億ベクレルとなった。通常の1千万倍にあたる。これほど大量に検出されれば、炉内で核分裂反応が起きている可能性すらある。原子力安全委員会は再評価するよう東電に求めた。

 東電が再度測ると、ヨウ素134なら急速に減るはずの放射能が、さほど減っていなかった。東電は27日夜、「減り方がもっと遅いコバルト56と間違えた可能性がある」と発表。しかし、28日未明の会見で「コバルト56ではなくセシウム134だった」と再び訂正した。午前の会見で「検出した」と発表していた別の2種類の物質も、実際には出ていなかったという。

 武藤栄副社長は「(分析した)内容を吟味する過程で十分でないところがあった」と話した。

 東電の広報担当者は、「測定結果が不確実な可能性があっても、公表しなければ、後から『隠していた』と批判を浴びる」と悩む。経済産業省原子力安全・保安院も、同じ理由で公表を優先したとしている。

検索フォーム

朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内事業・サービス紹介

東日本大震災アーカイブ

グーグルアースで見る被災者の証言

個人としての思いと、かつてない規模の震災被害、その両方を同時に伝えます(無料でご覧いただけます)

プロメテウスの罠

明かされなかった福島原発事故の真実

福島第一原発の破綻を背景に、政府、官僚、東京電力、そして住民それぞれに迫った、記者たちの真実のリポート

検索

亡くなられた方々

| 記事一覧