2011年3月26日22時38分
東京電力福島第一原子力発電所3号機のタービン建屋内で起きた作業員3人の被曝(ひばく)事故をめぐり、東電側が2号機の同建屋でも同様の放射線量を6日前に把握しながら、注意喚起していなかったことが判明した。東電側は26日、後手にまわった対応への釈明に追われた。専門家らは、ずさんな安全管理を批判している。
同日午前の東電本社。連日の記者会見に姿を見せた福島第一原発の藤森昭彦・環境担当は、注意喚起がなかった理由を問われ、言葉に窮した後、「十分な情報共有がなされていなかった。現場の混乱があったと思われる」。絞り出すような声だった。高い放射線量の公表が遅れたことについても、吉田薫広報部部長が「申し訳ない」と述べるにとどまった。
ただし、午前中の段階で、事前に高い放射線量を計測と説明したのは「1号機」。夕方になってそれを「2号機」に訂正。「福島事務所と第一原発のやりとりで取り違えてしまった」と謝罪する、お粗末な対応ぶりだった。
元京都大学原子炉実験所講師の小林圭二さん(原子核工学)は、「情報共有されていなかったことは非難されるべきだ。一義的には放射線管理担当者の責任だと思うが、組織としてずさんだったと言われても仕方ない」と東電の対応を批判。同実験所の小出裕章助教(同)は、「作業員は非常に困難な状況で、一刻も早く冷却ポンプを復活させようと水に入ったのだろう。これを教訓に、東電側は情報を共有させ、作業員一人一人の身を守ることを考えないといけない」と話す。