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首相、摂取制限を指示 福島産ホウレンソウなど12品目

2011年3月23日13時53分

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 菅直人首相は23日、福島県産のホウレンソウや小松菜、キャベツ、ブロッコリーなどから食品衛生法の暫定規制値を超える放射性物質が検出されたとして、当分の間、摂取制限を住民に呼びかけるよう福島県知事に指示した。原子力災害対策特別措置法に基づくこの措置がとられるのは初めてだ。これらに加え、同県産のカブや茨城県産のパセリと原乳(搾りたての牛の乳)についても当分の間、出荷を控えるよう両県知事に指示した。

 いずれも、東京電力福島第一原子力発電所の事故による影響と認定した。暫定規制値を超えたのは放射性セシウムと放射性ヨウ素で、検出された両県産の野菜は12品目。21日の出荷停止指示に続く措置だが、今回の首相指示は摂取制限まで踏み込み、極めて異例だ。ただ、JAはすでに福島県産のすべての露地野菜の出荷を自粛している。

 枝野幸男官房長官は23日午前の記者会見で首相指示を明らかにした上で「現時点で一時的に食用に供されたとしても健康に害を与えるものではない。しかし、こうした状況が今後長期にわたって継続することが残念ながら想定され、念のために早い段階から出荷を差し控えていただき、かつできるだけ摂取しないようにしてもらうことが望ましい」と語った。

 さらに、枝野氏は「(放射線量が)最大値を示した野菜を約10日間食べても、1年間の自然放射線量のほぼ2分の1にとどまるので、ただちに健康に被害が出ないことはもとより、将来にわたって健康に影響を与えるような放射線量は受けない」と強調。ただし、セシウムだけでなく、ヨウ素の放射線量も加えると、1年間の自然放射線量の3分の2に及ぶ。厚生労働省は「さらに食べ続けると、一般の人が問題ないとされる放射線量を超える可能性がある」と摂取制限にまで踏み込んだ理由を説明した。

 農林水産省は同日、福島県産の出荷停止対象の野菜が流通していないか調査。複数の食品団体を通じて傘下の小売業者などに尋ねたところ、傘下の小売店では消費者への販売は確認されなかったという。また市場についても、卸売業者に確認したところ、東京中央卸売市場・大田市場(東京)、築地市場(同)などの主要市場では出回っていなかった。

 これに先立ち、厚労省は同日未明、福島県周辺の野菜や原乳などに対する緊急時モニタリング検査の結果を公表。最も高い値が検出されたのは福島第一原発から約60キロ離れた福島県本宮市の茎立菜(くきたちな)で、規制値の164倍にあたる1キログラムあたり8万2千ベクレルの放射性セシウムが検出された。このほか、田村市のホウレンソウが80倍、川俣町の信夫冬菜(しのぶふゆな)が56倍、西郷村の山東(さんとう)菜で48倍、飯舘村のブロッコリーで27.8倍など計25サンプルで放射性セシウムの規制値を超えた。

 放射性ヨウ素は、福島県川俣町の信夫冬菜から11倍、田村市のホウレンソウからは9.5倍など計21サンプルで規制値を上回った。

 茨城県では、水戸市などで放牧されていた牛の原乳から規制値の5.7倍の放射性ヨウ素が、鉾田(ほこた)市や行方市のハウス栽培のパセリからも最高で6倍の放射性ヨウ素が、それぞれ検出された。

 放射性ヨウ素は8日程度で放射線量が半分になるが、放射性セシウムは数十年にわたり放射線を出し続け、土壌などへの影響も大きい。

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