2011年3月21日15時40分
東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県釜石市に本拠を置くラグビーのクラブチーム「釜石シーウェイブス」の外国人選手ら5人が、現地にとどまって日本選手とともに復旧作業を手伝っている。プロ野球やJリーグなどで外国人選手が一時帰国する中、「ワン・フォー・オール(1人はみんなのために)、オール・フォー・ワン(みんなは1人のために)」のラグビー精神を発揮している。
関係者によると、地震発生から数日後、救助に駆けつけた豪州大使館の車が釜石に到着。同国出身のピーター・ミラーは地震におびえる家族を連れて東京へ向かった。
一方、チームの主将で元ニュージーランド代表のピタ・アラティニは、家族だけを車に乗せた。同国出身のコーチや豪州出身のスコット・ファーディーらと被災地に残り、復旧の手伝いをするためだ。アラティニは復旧作業初日、数キロ離れた現場にあえて徒歩で向かった。「困っている人の声が聞こえたら、助けられる。釜石に恩返ししたいんだ」と話したという。
豪紙シドニー・モーニング・ヘラルドは、ファーディーが家族に伝えた言葉を紹介している。「私たちは豪州やニュージーランドに帰る場所がある。しかし、日本の選手たちは釜石に家を持ち、家族と暮らしている。こんな悪い状態の時に、仲間を置いて去っていくことが正しいと思わない」(野村周平)