2011年3月21日16時10分
劇作家・演出家で俳優でもある野田秀樹は15日夜、地震発生で休演したNODA・MAP「南へ」の公演を5日ぶりに再開した。自身が芸術監督を務める東京・池袋の東京芸術劇場での開演直前、野田のアナウンスが場内に流れた。上演続行を決めた理由の説明だった。
「劇場の安全確認の点検を含めて、4日間、劇場の灯を消しました。私は、その間、本当に居心地悪く暮らしました。日頃『ろうそく1本があれば、どんな時でもやれる。それが演劇だ』と言っていたからです。現実にはそのろうそく1本も危険だと思いこみ、自分の首をしめるような自主規制下におかれている気がします」と語り出した。
「音楽や美術や演劇が不自由になった時代がどれだけ人間にとって不幸な時代であったか、それは誰もが知っていることです。劇場で守るココロというのは、人間の営みに欠かせないものです。日常の営みを消してはならないように、劇場の灯も消してはいけない。だから一日でも早く、再開したかった」
終演は9時すぎ。舞台上から野田が、この日のチケット代をすべて義援金とすることを伝え、カーテンコール1回で観客に帰宅を促した。
公演は31日まで。暖房を止めるなど、電力不足に配慮して公演を続けている。(伊佐恭子)