2011年3月20日1時51分
東日本大震災で被害を受けた東京電力福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)では19日、電源復旧作業が進み、ケーブルがつながって1、2号機で通電できるようになった。残りの4基も早ければ20日に仮設ケーブルとの接続ができる見通し。電源が復旧し、冷却水を供給して核燃料を冷やせるようになると、現在の危機的状況を切り抜ける道筋がみえてくる。一方、東京消防庁が19日、3号機への放水作戦に加わり、特殊な送水車で放水した。
電源を最初に引き込むのは2号機。19日午後1時半ごろに接続が終わった。建屋を調べたところ、設備の被害は比較的少なく、複数のポンプの電気系統も正常らしいこともわかった。
ただ、予期せぬ故障をしている可能性もあり、電源を入れて作動させる前に一つ一つ確認する作業が必要だ。ポンプが損傷している場合に備え、炉水を循環させて熱をとるための代替用の仮設ポンプを約20台準備している。
一方、5、6号機は19日、2台目の非常用発電機が復旧。原子炉と使用済み核燃料プールを循環する冷却水を、海水によって冷やすことができるようになった。冷却水の温度は、6号機は基準の上限値(65度)より高いが、5号機は下回った。外部電源とつなぐことができれば、冷却システムを安定して動かせる。
東電は20日未明、東日本大震災の際に3号機で計測された揺れの値を発表した。水平方向で507ガル(ガルは加速度の単位)。一部で揺れの値が設計の想定の範囲を超えていた可能性が高いという。3号機は2006年に制定された新耐震指針に基づき想定が引き上げられ、経済産業省原子力安全・保安院も妥当と評価していた。