2011年3月16日21時49分
宮城県東松島市の沿岸部にあり、津波の被害を受けた航空自衛隊松島基地に16日、地震後初めて輸送機が着陸した。津波に流された倒木や泥で覆われて滑走路が使えなかったが、15日に整備が完了。「これからは、ばんばん物資を運べる」(航空自衛隊幹部)。救援活動の進展が期待される。
松島基地には、2700メートルと1500メートルの2本の滑走路があり、被災地に近い輸送拠点として復旧が急がれていた。16日、雪の降る悪天候の中、まず米軍の輸送機C130が大量の水を積んで到着。陸上自衛隊のトラック5台に積み込み、宮城県気仙沼市の病院や岩手県陸前高田市の避難所などに向かった。
天候が回復次第、航空自衛隊の輸送機も、食料や医薬品の空輸を本格化させる予定だ。これまで救援物資は陸路やヘリで運んでいた。輸送機による空輸が可能になることで、運べる物の種類も量も大幅に広がるという。
松島基地には4メートルほどの津波が押し寄せ、基地内にあったヘリや航空機28機が全滅した。所属隊員約1100人のうち、約900人は無事だったが、全員の安否確認はできていない。医療活動ができる隊員らは、他の基地に移って救援活動をしているという。
地震発生時、同基地の救難隊のヘリは、悪天候で飛びあぐねている間に津波に襲われ、300メートル流されて押しつぶされたという。大泉裕人広報班長は「あのとき1機でも飛ばしていれば、助けられた命があったかもしれない。非常に悔しい」。(木村和規)