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長さ600キロの断層破壊か スマトラ沖と同じタイプ

2011年3月12日3時10分

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図拡大東北地方太平洋岸の過去の地震の地図

 今回の地震は、太平洋プレート(岩板)が陸側のプレートに沈み込む境界で起きた地震とみられる。大きな津波が起きやすいスマトラ沖地震(2004年)などと同じタイプで、東北地方で想定されてきた以上の地震だった。

 当初の震源は宮城県沖だったが、福島県沖や茨城県沖でも余震とみられる地震が起きている。気象庁は、岩手県北部から福島県、茨城県の県境まで長さ約400キロにわたって断層が破壊したとみる。

 八木勇治・筑波大准教授の解析では、今回の地震は長さ600キロ、幅200キロの範囲の断層が破壊して起きた。3カ所で大きな破壊が起き、大きいところで8メートルずれ動いたと推定される。

 気象庁によると今回の地震のマグニチュード(M)は8.8、米地質調査所(USGS)はM8.9と発表している。東海、東南海、南海地震が連動し、東海地方から四国沖までのプレート境界が破壊した1707年の宝永地震はM8.6〜8.7と考えられており、これを超える規模になった。東京大地震研究所の古村孝志教授は「日本で起こりうる最大級の地震」。想定されていた宮城県沖地震に比べ地震のエネルギーは約90倍にのぼるという。

 政府の地震調査研究推進本部は、宮城県沖でマグニチュード(M)7.5〜8前後の地震が今後30年以内に99%の確率で起きると予測していた。三陸沖南部とより陸側の宮城県沖の同時発生を想定するにとどまっていた。同本部地震調査委員会は「個別に評価していたが、すべての領域が連動して発生する地震は想定外だった」とする見解を公表した。

 ただ、最近の研究では、東北から関東の太平洋岸を巨大津波が襲った痕跡が室町時代や平安時代の地層で見つかっており、M8級の巨大地震による津波が広範囲で繰り返されてきたとの見方もあった。東京大地震研究所の佐竹健治教授は「869年に仙台平野を襲った貞観津波が再び起きた可能性もある」と話す。

 今回の震源の北東では、9日にもM7.3の地震が起きるなど、地震活動が活発化していた。前地震予知連絡会会長の大竹政和・東北大名誉教授は「ここ数日の間に起きていた地震は前触れで、一気にエネルギーが噴出したのではないか」と話す。気象庁地震津波監視課の横山博文課長は「M7級の地震の後に大きな地震が起こるのはあまりなく、特異な事例だ」と語った。

 地震による揺れは宮城県栗原市築館で2933ガル(ガルは加速度の単位)を観測した。重力加速度の3倍の強さという。

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