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【時計の祭典ジュネーブサロン】(2)ラージケースの魅力

2011年1月19日11時43分

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写真:1)パネライ「ラジオミール・スリーデイズ・プラチノ−47MM」。手巻き(3日間巻き)、プラチナ、ケース径47ミリ。世界限定199本。今夏発売予定。396万9000円(税込み予価)拡大1)パネライ「ラジオミール・スリーデイズ・プラチノ−47MM」。手巻き(3日間巻き)、プラチナ、ケース径47ミリ。世界限定199本。今夏発売予定。396万9000円(税込み予価)

写真:2)パネライ「ルミノール・サブマーシブル1950スリーデイズ・オートマティック・ブロンゾ−47MM」。自動巻き、サテン・ブロンズ、ケース径47ミリ。今夏発売予定。98万7000円(税込み予価)拡大2)パネライ「ルミノール・サブマーシブル1950スリーデイズ・オートマティック・ブロンゾ−47MM」。自動巻き、サテン・ブロンズ、ケース径47ミリ。今夏発売予定。98万7000円(税込み予価)

写真:3)ピアジェ「エンペラドール・クッション(トゥールビヨン・オートマチック)」。自動巻き、ホワイトゴールド、ケース径46.5ミリ。発売時期未定。価格未定拡大3)ピアジェ「エンペラドール・クッション(トゥールビヨン・オートマチック)」。自動巻き、ホワイトゴールド、ケース径46.5ミリ。発売時期未定。価格未定

写真:4)ピアジェ「アルティプラノ」。自動巻き、ホワイトゴールド、ケース径43ミリ。発売時期未定。285万6000円(税込み予価)拡大4)ピアジェ「アルティプラノ」。自動巻き、ホワイトゴールド、ケース径43ミリ。発売時期未定。285万6000円(税込み予価)

写真:5)ジラール・ペルゴ「ヴィンテージ1945XXL」。自動巻き、ピンクゴールド、ケース径35.25×36.20ミリ。10月発売予定。235万2000円(税込み予価)拡大5)ジラール・ペルゴ「ヴィンテージ1945XXL」。自動巻き、ピンクゴールド、ケース径35.25×36.20ミリ。10月発売予定。235万2000円(税込み予価)

写真:6)ジラール・ペルゴ「1966スモールセコンド」。自動巻き、ピンクゴールド、ケース径40ミリ。世界限定220本。7月発売予定。218万4000円(税込み予価)
拡大6)ジラール・ペルゴ「1966スモールセコンド」。自動巻き、ピンクゴールド、ケース径40ミリ。世界限定220本。7月発売予定。218万4000円(税込み予価)

写真:7)各展示ブース内はブランドの個性やコレクションの世界観が表現されている(写真はIWC)
拡大7)各展示ブース内はブランドの個性やコレクションの世界観が表現されている(写真はIWC)

 スイス・ジュネーブはフランスに国境を接する人口20万人弱の都市だが、国際連合関連の諸機関を始めとして、国際機関の事務局や本部が数多く立地している。スイスの時計産業はこの地で16世紀半ばから勃興したのだが、今のように発展したのは宗教改革運動がきっかけだったといわれる。カトリックに対して、ユグノーと呼ばれる新教徒の多くは絹織物や染色、それに時計技術を身につけていた。彼らがフランスの混乱を逃れて、改革派のカルバンが本拠地とするジュネーブに集まったことで時計産業が一気に華開いたのである。18世紀になると、時計職人たちは次第にフランスと国境と接するジュラ山脈のふもとに広がり、現在に至る時計王国スイスを築きあげていった(スイス時計協会FHのHPを参照)。

フォトギャラリー(1)「驚嘆の技術と美術」

ちなみに、かつてはイギリスでも時計産業は盛んだったが、その技術は門外不出とされていた。この閉鎖性を背景として代を重ねるうちに衰退していったのだが、スイスでは早くから時計製造に関する法律や規定を整備。それが時計産業の拡大と発展を促したともいわれる。

 さて、ジュネーブサロン2日目だが、やはり経済成長著しい中国人の姿を数多く見かけるようになった。とはいっても、昔のように大きな声で会話するバイヤーやメディア関係者はほとんどいない。立ち居振る舞いはまことに紳士・淑女であり、意識しないと日本人と区別がつかなくなった。やはり自国の経済力に強い自信を持ったせいではないだろうか。

 新作の傾向について昨年は「(ケースが)デカ厚なトレンドは一段落か」とリポートしたが、どうやら必ずしもそうではないようだ。むしろ、ケースはラージでも、厚さを抑えたブランドが目立つように感じた。まだ2日目だから何とも言えないのだが、40ミリを少し超えたケースサイズで、エレガントな薄型が主流になりつつあるように思われる。腕にフィットするようにケースをカーブさせることも、トレンドと言えるかもしれない。そんなラージケースのコレクションを持つ3ブランドを紹介しよう。

◆パネライ  幻のダイヤルを復刻

 イタリア海軍特殊潜水部隊のために開発されたダイバーズウオッチを1990年代に一般市販して、瞬く間に高い人気を集めたブランド。軍用のプロスペックと、クッション型と呼ばれる独特のラージケースが特徴。いわば視認性や耐久性などから必然的にケースが堅牢に、かつ大きくなったのである。

このスタイルは今でも忠実に継承されているが、近年は自社開発のオリジナル・ムーブメントが充実。特殊なトゥールビヨンからロング・パワーリザーブなど高い技術力を持つブランドに進化している。今年も、完全自社開発の新型手巻きムーブメント「P.3000」を追加しており、これを搭載した新作が登場した。中でも「ラジオミール・スリーデイズ・プラチノ−47MM」は、1930年代の終わりに試作品として製作され、2本しか現存しないという「幻のダイヤル」の復刻モデル。バーとドットのインデックスを組み合わせており、シンプルながらも独特の魅力を感じさせる。「スリーデイズ」とは一度巻き上げれば3日間動き続けるパワーリザーブの意味だ。

 また、新ムーブメントではないが、「ルミノール・サブマーシブル1950スリーデイズ・オートマティック・ブロンゾ−47MM」にも注目したい。これは銅の合金をケース素材にしており、年を経過していくと表面が古びた趣に変わってくる。その度合いは生活環境などによってそれぞれ異なるため、次第に自分だけの時計に変わっていくわけだ。いわば「エイジング」であり、年季を経ることを楽しみ味わうという、通常とは逆の発想を時計として実現するところが、パネライならではの非凡な個性といえるだろう。

◆ピアジェ  世界最薄の自動巻きトゥールビヨン

 1874年創業の宝飾時計で有名なブランドだが、機械式ムーブメントを自社開発してきた生粋のマニュファクチュール。中でも極薄型機構は同社の伝統的な得意分野であり、昨年も厚さ2.35ミリという現行品では「世界最薄」の自動巻きムーブメントを搭載したケース厚5.25ミリのモデルを発表。ただし、ケース径は43ミリなので「薄型ラージ」の最先端と表現できるかもしれない。このモデルのベゼルにダイヤモンドをセッティングした新作が追加されている。

 また、お得意の「世界最薄」の分野でも、今年は何と時計界では最高峰の技術が必要といわれるトゥールビヨンで実現してしまった。マイクロローターによる自動巻きモデルで、この機構にも関わらずケースの厚さはわずか10.4ミリ。そのかわりにケース径は46.5ミリであり、やはりラージ。いずれにしても、これまで積み重ねてきた開発実績の頂点ともいえる傑作であり、ピアジェの卓越した技術力の証明にほかならない。

◆ジラール・ペルゴ(GP)  角型のラージケース

 1791年創業。ラ・ショー・ド・フォンに複数の工房を持つ、スイスの代表的な時計ブランド。1867年と1889年の2回のパリ万国博覧会で金賞を受賞するなど、その技術力は高く評価されてきた。近年は独特なラグを持つ角型時計「ヴィンテージ1945」が人気を集めており、毎年のようにバリエーションを拡大している。

新作の「ヴィンテージ1945XXL」は、腕に合わせてケースと風防ガラスなどを思い切って湾曲させたモデルのラージサイズだが、それだけに決して大きくは感じない。むしろ機械式時計ならではの重厚感を楽しめる時計といえるだろう。写真ではピンクゴールドケースを紹介したが、ステンレススチールモデルもあり、税込み予価は94万5000円。

 GPは今年で創業220周年を迎えるため、丸型の「1966スモールセコンド」で世界限定220本のアニバーサリーモデルが発売される。エナメルダイヤルで、このブランドとしては大きなスモールセコンド、さらにインデックスを斜体のブレゲ数字として、クラシカルな懐中時計のイメージを再現したという。(ライター 笠木恵司)

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